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2022/08/10 22:18

織物づくりには、縁の下の力持ちがたくさんいます。


生地を織る場面はもちろん、糸の準備工程や仕上げの工程にも、たくさんの職人さんが携わっています。
そんな普段なかなか目にする機会のない「現場」... 工場見学で「機械で作る織物も、人が作ってるんだ!」ということに気付き、自分自身も職人見習いとして織物工場で修行した店主が織物づくりの舞台裏を紹介したいと思います。

織物は会議室でできてるんじゃない!現場でできてるんだ!



というわけで今回は加美サイジング(株)さんでのサイジング(経糸糊付け)工程をご紹介します。
兵庫県多可郡多可町、のどかな田園風景の中にある加美サイジングさん。



綿という素材は繊維が比較的短いために、糸が毛羽立ちやすいという特徴があります。
そこで多くの場合、糸の毛羽を抑え、糸を切れにくく(=織りやすく)するため、経糸に糊を付けます。

この工程を「サイジング」と呼び、現在当店でお作りしている播州織オリジナルテキスタイルのほとんどは、こちらの加美サイジングさんでの糊付け工程を経て出来上がっています。 (商品ページにそれぞれの生産工場さんを記載しています。)



まさにこの機械です。いつもありがとう。

糸の種類やその日の気候、糊液の流れ方(!)などから適切な糊の濃度を判断するのは、長年の経験によるところが大きいそうです。果物の甘さを調べるのに使う「糖度計」を使うこともあるそうですよ!



サイジングは走り出したら止まれないことで有名(?)なのですが、それはなぜかというと、止めてしまうと糊の付き方が均一でなくなってしまうからなのです。「基本的には止められない」「もし止めることがあっても3秒くらい」とのこと。

今の時期の工場はとても暑いのですが、汗がだらだら流れる中、緊張感のあるお仕事をされていることに頭が下がります。



この経糸につけた糊は、生地を織り終えた後の仕上げ加工で落としてしまうため、最終的に出来上がった織物に残るものではありません。しかし、この糊付けの出来が織りやすさ(=糸が切れずに織れるかどうか)を左右するため、美しい織物を織るためには非常に重要な工程なのです。

織物工場で働いてきた私が、実感を持ってお伝えします。サイジングが上手くいっている経糸は織機にかける際も扱いやすく、織りやすいです。逆に上手くいっていないと、糸が切れに切れて絶望しちゃうよ!



サイジング屋さん無しには、綿織物をつくることはできません、いつも本当にありがとうございます!
みなさまもぜひ、お手元の織物の向こうにいる職人さんに思いを馳せてみて下さいね。

加美サイジングさん、お忙しいなか現場をお見せ頂き、ありがとうございました。


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